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LastUpdate:2005.02.07

iMac DV 修理日記 その2

 

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■ 分解・修理・・・犯人を探せ!

まずは基板をよく観察。とりあえず(今回分解していないが)CPUやメモリが載っている マザーボード側の方は今回の修理とは関係ないので無視。今回分解したアナログ基板には 電源周りとディスプレイ用の高圧関係の部品が並んでいます。


見にくいが左側がディスプレイ関係、右側が電源関係の回路

とりあえず手始めにヒューズチェック。残念ながら切れいていませんでした。 っていうか、ヒューズが壊れていないで他の部品が壊れるというのは、ヒューズはいったい なんのために?とリンゴ社につっこみたくなってしまうが、まぁそれは置いとこう。

次は実際に電源ケーブルを繋げて(危険注意!)どこまで正常に動いているかのチェック。
この電源はスイッチング方式を取っているようで、いきなりAC100Vから整流されてます。 ブリッジダイオードも生きているようでここまでは正常。次にスイッチング回路らしきもろもろの 部品がありつつ、トランスへと続いているんですが、そのトランスの出力側には信号が 来ていませんね。どうやらトランスが壊れたかスイッチング回路が故障しているかという感じです。

一通り信号を追っかけたところ、ヒートシンクに取り付けられた FAIRCHILD製の 5S12656 というICを発見。 シルクでは IC901。怪しいぞ。とりあえず FAILCHILDからデータシートをゲット。

http://www.fairchildsemi.com/ds/KA/KA5S12656.pdf


5S12656

Fairchild Power Switch(FPS)・・・やはりスイッチング回路の電源用ICですな。どうやらこのICで 発振をさせているご様子。早速オシロを使いながら波形を観測してみました。あーきーらーかーにおかしいですね。 おそらくこのICが壊れたのはほぼ確実でしょう。

一応 5S12656 のピンアサインは以下。

  1. Drain SenseFET Drain
  2. GND Ground (Source)
  3. VCC Control Part Supply Input
  4. F/B PWM Non Inverting Input
  5. S/S Soft start & External Sync.
念のためIC周りの部品もチェックしたがおかしな様子はなかったので、故障の原因は 5S12656 が雷でイッてしまったということはほぼ確定ですね。これを交換すれば直りそうです。

では次なる問題、5S12656 をどこで入手するか。こんなICは秋葉でもそうそう手に入るような ものでもなさそうです。と、いろいろリサーチしてみるとこんなページを発見。

iMac DV日記

なぬ!先駆者がいました。しかも全く同じ症状。もっとよくリサーチしてから分解にかかるべきだったか。 しかもこの方は部品をオークションで手に入れてます。というわけで、ヤフオクをサーチ。

iMac DV 電源用IC (5S1265)  希望落札価格:1,500 円

( ̄ー ̄)ニヤリ

即落札しました。しかもここで新たな情報発見。

●電源用ICが壊れたかどうか簡単に見つける方法。


上の写真のように、本体横の隙間からテスターを使って測定し 5V が出ていなかったら 5S12656 が壊れた可能性が高いとのことです(100%ではない)

そんなわけで、ICが届くまでの間に、熱伝導性グリスを購入。ヒートシンクとの間にこれを 塗っておかないと、放熱がうまくいかずに熱破壊してしまう可能性があるので。


さて、ようやく届いた IC ですが、なんと発送ミスで STMicroelectronics の TOA8172 と言う 7PIN の IC が間違えて届いてしまいました。この IC も壊れやすいとのことですが、今回の故障には 関係ないので、改めて発送し直してもらい、ようやく目的の 5S1265(5S12656の改良版)をゲット。


■ IC交換

部品到着まで、元に戻しておいた iMacDV を再び分解。一度分解しているので、流れは分かっていながらも やはり分解しずらい・・・。どうにかしてくれリンゴ社。なんとか再び電源ボードまでたどりつき、いよいよ部品の取り外し。

注意:このとき、電源プラグを外して数時間以内に作業を行う場合は、まだコンデンサに電荷が残っている可能性が あるため、注意が必要です。コンデンサから一気に人間の体に放電した場合、非常に危険です。

まず IC のハンダをハンダ吸い取り器かハンダ吸い取り線で取り除きます。その際、あらかじめ IC を放熱板から外しておくと、ハンダゴテの熱が逃げていかないのでやりやすいです。


新しい IC を取り付ける際は熱伝導性グリスを塗ってから(少なすぎず多すぎず)取り付けます。 ヒートシンクと隙間なくしっかりと取り付けるのがコツです。ここで隙間ができたり、グリスが 多すぎたりして放熱効果が下がってしまうと、故障の原因にもなります。


新しい 電源用IC 取り付け完了


さて、これで一応オペの大事な部分は完了。はやく動作チェックをしたいところですが、あまり 横着せず、一通り組み立てなおしてから動作チェックした方が無難です。


動作チェック

動いた!!!

感動の瞬間でした。従兄弟のパソコンから依頼された修理なので、Mac が起動するのをこのとき 初めて見ました。「へぇ、こうやって動くのかぁ」てな感じ。まぁなんにせよ、無事に修理は 成功したので、元通りに組みなおして修理完了です。

まとめ

やはり Mac の分解はかなりしんどかったです。ですが、リスク承知で修理をすれば、見積もりだけで数万円も かけるより、はるかに経済的だったと思います。また、修理後にいろいろ調べたところ、5S12656 が 壊れるという例はかなり多いようで、オークションでも頻繁に出品されていました。さらに Mac は雷に弱いという弱点もあるようなので、雷サージ吸収機能付きの電源タップは必須かと 思います。他にも iMac ではフライバックトランスが故障するケースなんかもあるようです。

また、この修理の後、バックアップ電池の交換もやりました。電池交換は今回の電源用ICの交換に 比べればかなり楽でした。もちろん電池もヤフオクで購入しました。

完璧の状態に戻して、従兄弟に返却致しました。いやぁめでたしめでたし。


修理完了

教訓

  • 修理前リサーチが足りない。もっとよく調べるべし。
  • ツメを1箇所、プラスチック1箇所を破損(動作には支障なし)。用心すべし。
  • 高圧危険箇所多し、素人手出すべからず。

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